会社分割による不動産取得税の非課税措置

会社分割により不動産を移転させた場合には、原則として不動産取得税が課税されます。ただし、一定の要件を満たす会社分割の場合には不動産取得税が非課税となります。

会社分割による不動産取得税の非課税要件

以下の要件を満たす会社分割が行われた場合には、その分割により移転する不動産にかかる不動産取得税は非課税となります。

  • 分割対価として分割承継法人株式以外の資産が交付されないもの
  • 分割により分割事業に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転していること
  • 分割事業が分割承継法人において分割後に引き続き営まれることが見込まれていること
  • 分割直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね80%以上が分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること
  • 分割型分割の場合には、分割対価が分割法人の株式割合に応じて交付されるもの(按分型)

分割対価要件

分割対価は分割承継法人の株式のみとなっているため、現金対価や分割承継法人株式と現金の組み合わせなどの場合は要件を満たしません。無対価分割の場合には要件を満たすものと考えられます。

主要な資産及び負債の移転要件

その分割事業に係る主要な資産及び負債の移転が要件となっています。『及び』となっていますので主要資産だけではなく主要負債も移転することが要件と考えられます。

従業者の80%引継要件

従業者とは、役員、使用人その他の者で、分割の直前において、分割事業に現に従事していた者のことをいいます。役員も含まれますので、代表取締役1名のみが分割事業に従事している場合には、その代表取締役が分割承継法人に異動すれば要件を満たすことになるとされています。またこの場合には、分割法人と分割承継法人の代表取締役を兼務している場合にも要件を満たすとされています。

都道府県税事務所への非課税申告書の提出

不動産取得税について非課税措置の適用を受ける場合には、都道府県税事務所に対して不動産取得税非課税申告書を、以下の添付書類とあわせて提出することになります。

<添付書類>

  • 分割について承認または同意があったことを証する書類(株主総会議事録、取締役会議事録等)
  • 分割の内容がわかるもの(分割計画書、分割契約書)
  • 履歴事項全部証明書(分割法人、分割承継法人)
  • 定款(分割法人、分割承継法人)
  • 分割法人から承継する権利義務に関する事項を確認できる書類(承継権利義務明細表等)
  • 分割事業に係る従業者のうち、分割承継法人に従事する人数がわかる書類(分割前後における当該分割事業部門の従業者の人数比較表、従業者名簿等)

本記事は執筆時点の日本の税法等を考慮しておりますが、一定の前提に基づく一般的な解釈について述べたものであり、特定の法人や個人に対する専門的なアドバイスまたはサービスを提供するものではありません。ご不明な点は必ず税理士などの専門家に個別にご相談の上、ご判断下さい。本記事に依拠することにより利用者が被る損失については一切の責任を負わないものとします。

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