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所得税の青色申告特別控除(10万円控除から65万円控除への変更など)

個人事業主で所得税の青色申告の承認を受けている方(承認申請書の提出が必要)は、所得税の所得計算において65万円または10万円を控除することができます。(青色申告特別控除)
65万円と10万円の控除のちがいは以下のとおりですが、大きなポイントとしては複式簿記により取引を記録している場合には65万円の控除、簡易簿記により取引を記録している場合には10万円の控除となります。

10万円の青色申告特別控除の要件
  • 青色申告の承認を受けている個人
  • 不動産所得、事業所得又は山林所得が生じる業務を行っている
  • 簡易簿記による記帳(現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳等の帳簿を備え付けてする簡易な記帳)を行っている
  • 確定申告書に青色申告決算書(貸借対照表は作成不要)を添付すること
65万円の青色申告特別控除の要件
  • 青色申告の承認を受けている個人
  • 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる(不動産所得の場合、下記の事業的規模で営んでいる必要あり)
  • 複式簿記による記帳
  • 確定申告書に青色申告決算書を添付すること
  • 確定申告書を提出期限内に提出すること
  • 収入及び費用について現金主義を選択していないこと
10万円控除と65万円控除の要件のポイント
  • 10万円は簡易簿記、65万円は複式簿記による記帳が必要
  • 65万円控除の場合、不動産所得は事業的規模で営んでいる必要がある※

※事業的規模の基準(所得税基本通達26-9、出典元:国税庁HP)
不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
(1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(2)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

10万円から65万円の青色申告特別控除に変更しようとする場合

例えば昨年まで10万円の青色申告特別控除を受けていた個人が、今年から65万円の青色申告特別控除を受けようとするときは、今年から複式簿記による記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を添付した確定申告書を期限内に提出すればよく、あらためて青色申告承認申請書を提出する必要はありません。

帳簿書類の保存期間

原則として7年間(一定の書類については5年間)、帳簿や決算書などを保管する必要があります。

本記事は執筆時点の日本の税法等を考慮しておりますが、一定の前提に基づく一般的な解釈について述べたものであり、特定の法人や個人に対する専門的なアドバイスまたはサービスを提供するものではありません。ご不明な点は必ず税理士などの専門家に個別にご相談の上、ご判断下さい。本記事に依拠することにより利用者が被る損失については一切の責任を負わないものとします。

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